有料老人ホームなども検討へ−介護職員の医療行為(医療介護CBニュース)

 厚生労働省の宮島俊彦老健局長は6月4日、東京都内で開かれた日赤振興会第22回講習会「動き始めた厚生政策の行方」で基調講演し、現在は特別養護老人ホーム(特養)の介護職員にのみ認めている、口腔内のたん吸引や胃ろうによる経管栄養などの医療行為を、有料老人ホームなどでもできるよう検討を始めることを明らかにした。同講習会には全国の介護事業者などが参加した。

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 基調講演は、「介護保険の現状と課題」と題して行われた。宮島局長は、介護の担い手としての介護職員の重要性を強調した上で、介護職員の医療行為について「一般的に介護職員が、そういったことができるような法的措置の検討を始めようと思っている」と述べた。 
 介護職員の医療行為について厚労省は、一定の研修を受けた特養の介護職員にのみに認めているが、現場からは医療行為が可能な施設の拡大を求める声が出ていた。長妻昭前厚生労働相も、特養以外に拡大する方針を示していた。 
 宮島局長はまた、昨年10月に開始した介護職員処遇改善交付金について、「ボーナスで、一時金として出すのではなく、本給の中に入れていってもらいたい」などと要請した。同交付金は、2012年3月までの時限措置で、介護職員1人当たり月額平均で1.5万円の賃上げに相当する額を、事業者に交付している。                                                  
 引き続き行われたシンポジウムでは、厚労省老健局の土生栄二振興課長や日本社会福祉士会の山村睦会長、日本福祉用具供給協会の山下一平理事長、日本介護福祉グループの齊藤正行経営企画室長が、「新たな厚生政策から見た介護事業の現状と展望」のテーマで、意見交換を行った。 
 土生振興課長は、特に在宅系のサービスは、人材育成と確保の点で課題を抱えていると指摘。課題を解決するためには資格制度の確立などを目指す必要があるとしながらも、「財政は相変わらず厳しい。介護分野でもサービスの効率性や有効性を問い直す必要があるだろう」と語った。山村会長は、「山間部の過疎地域では、各種の介護サービスを受けられない人がいる」と指摘。今後は、地域の格差を解消するための取り組みが重要になると主張した。 
 山下理事長は、福祉用具について「要介護のレベルが軽い時から使ってこそ意味がある」と説明した上で、より有効に活用するためにも「福祉用具専門相談員と他職種との連携を強化する必要がある」と述べた。 
 齊藤経営企画室長は、各種の事業所が今後の介護業界で生き残るには、▽差別化戦略の構築▽人材確保と育成▽コンプライアンス順守体制の構築▽リスクマネジメント体制の構築▽地域との共生-の5点を意識する必要があると提言。また、健全な競争と劣悪事業者の排除を実現するためにも「総量規制の撤廃と資格要件の緩和をすべき」と訴えた。 
 会場の参加者からは、「民間の事業所は、社会福祉法人と同じ審査や評価を受けているのに、補助金が出ないのはおかしい」とする意見が上がったが、土生振興課長は「補助金の給付を民間に広げる方向には行かない。(変化があるとしたら)社会福祉法人への補助金を削減する方向にしか向かない」と述べるにとどまった。


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